研究背景

広告においては、広告発注者と広告代理店、消費者との主観と客観が織混ざっており、確率論もそれぞれの異業種の歴史に左右される。
広告においてもビッグデータを用いる時代が到来しているが、大都市圏では取得及び参考に用いられるデータ量や更新頻度が高く、アルゴリズムの開発も応用性が存在するが、地方都市などでは、ビッグデータの活用が盛んとは言えない。
本研究では地方都市におけるビッグデータの活用を活性化するため、地場ビルダーによる売上という果実の大小と顧客の嗜好の因果関係を解析し、それを元にPRアルゴリズムの開発を行うことをテーマに設定した。

PRアルゴリズムの仮説

地場ビルダーである広告発注者が欲するものは、自己の販売圏への販売力の浸透であり、消費者の欲するものは所謂、理想的なコスパ内での情報獲得である。つまり消費者は自分の行動圏内において、住宅という高価格なものを「捜索」していると考え得る。この消費者による「捜索アルゴリズム」を広告発注者が予測することで、消費者に「発見してもらう」蓋然性が高くなるのではないか?という仮説を立てた。
ベイズ推定を用いた「沈没潜水艦の捜索」が過去の事例に存在し、広大な大西洋から潜水艦の発見に至っている。この捜索アルゴリズムは墜落機のボイスレコーダーなどの発見にも効力を発揮しており、本研究では地域の工務店として上位の売上を記録している三重県の西川工務店の協力を得て、消費者が広大な県内の中で望む物件を「捜索」する際に図らずともいかなるアルゴリズムを持って、購入物件の「発見」に至ったのか?というPRによる購入品捜索と広告発注者から見た顧客獲得のアルゴリズムの特定と、PRアルゴリズムの構想設計を試みた。

研究内容

ベイズ推定では、初期に主観で確率を設定し、事前確率と称する。この確率は主観で決めたものであるため、実際の取得データで補正する必要がある。この補正した結果を事後確率と称する。
事後確率=データの尤度×事前確率となり、尤度とは、観測データに基づいた仮説の正しさの確率である。広告発注者も消費者もそれぞれ事前確率を仮説的に持っており、様々な条件(尤度)を整理して、顧客獲得、望む住宅の獲得に至っている。

この住宅販売と住宅検索のそれぞれの尤度の収集方法とアルゴリズム化を実装し、ベイズ推定を用いたPRアルゴリズムの理論を発表していく。